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ロウヤガキを育てる

 ロウヤガキは実生から育てると結実するのに4~5年かかります。また実生の半数以上は実をつけない雄(おす)樹となります。

 

【種の購入】
 最初から育ててみたい方はまず種の準備から初めて下さい。インターネット通販や各種ロウヤガキ取扱店等にて各種(10~20個入り)500~1000円位で入手できると思います。タネの大きさは種類により若干異なりますがほぼ小豆位の大きさです。

 

【蒔く場所】
(庭や畑がある方)
 庭や畑がある方は、除草、整地したあと、出来れば黒マルチのビニールシートで覆い、そこに適宜穴をあけて種を直蒔(じかまき)きすると除草などのあとの管理が省けます。90㎝の幅で穴が既に4~5個空いているものなどがあり便利です。広い場所に蒔く時は、間隔は最低10cm以上とりたいです。できれば30cm位あった方があとの管理が楽です。というのもロウヤガキの若木のうちは樹勢が旺盛で、鋭いトゲの発生が見られ、オス樹の間引き作業する際、安全に仕事ができます。
(庭や畑がない方)
 そうした土地がない方は30cm位の平鉢やスーパーなどで出る発泡スチロールの箱(持ち運びを考え、縦30cm×横45cm×深さ10~12cm位の物)を用意し、底に排水用に穴(5cm四方位)を5~6か所開け、アミ目のプラスチックをしきます。 

 

【用土について】
 次は用土です。特に難しく考えることはありませんが、一般的には赤土を主体に桐生砂等を混ぜたものを使用します。桐生砂を多く入れた方が排水は良くなります。また植替え時、土をばらすのに砂が多いと比較的簡単に根がほぐせます。通気性を考慮し、まず一番下に赤土のごろ土を1~2cmひきます。その上に用土(赤玉の中粒程度を主体に桐生砂を8:2~7:3くらいの割合で混ぜたものを用意します。一般的にロウヤガキは成長が早く、成木であっても鉢植えなどは2~3年に一度は植替えが必要です。桐生砂の割合が多いとこの時の根をばらす作業が楽になります。(筆者は赤土6:桐生4砂の割合で使用しています。)用意した鉢や箱に9分目位まで土を入れます。終わったら平らにならし水をたっぷり注ぎます。(箱から水が流れ出るまで注ぎます)鉢や箱蒔きの場合、間隔は3~5cm位で播種します。深さは種の大きさの3~5倍の深さが目安です。 

 

【種蒔き・水やりについて】
 種は入手次第なるべく早めに蒔いた方が無難です。蒔く時は一晩水につけ、充分水を給水させてから蒔かれると良いと思います。蒔き終わったら覆土し、軽く散水してから日当たりの良い所に置かれると良いと思います。播種後は土の表面が乾いたら水やりします。
 日当たりの良い場所の方が地温の上昇が早く、発芽も早くなります。雨の当たる処であればそれほど神経を使う必要はありませんが、乾いたら水やりするぐらいの気持ちで充分です。ただ箱や鉢蒔きの場合は地中から水が上がりませんから、土の表面の乾き具合に応じて水やりして下さい。常にやるのではなく、やる時はたっぷりし、湿り気があるようなら休むことも必要です。根の伸長には通気も大切な要素だからです。
 春先に播種したタネも気温の上昇と共に発芽が見られます。当地神奈川県湯河原町では5月~6月初め位には芽吹きを迎えます。鉢や箱に蒔いたものはこれから注意(水枯れ)が必要です。夏に向かい気温が上昇すると新芽がどんどん伸長して来ます。朝、散水すれば新芽がぐったりすることはありませんが、夕方新芽を見てぐったりしていたら必ず散水して下さい。一度は焼けした葉は元には戻りません。

 

【肥料について】
肥料は6月頃に菜種粕(緩効性であること、肥料成分が低いことから少し大目に撒いても良いでしょう)を適宜(先程の箱なら一掴みくらい)施肥します。この時の注意は散水する前に施肥することです。そうしないと葉に付着してしまい、各種のかびにより落葉の原因になります。

 

【病気・害虫について】
 病気については通気、排水、樹勢が旺盛であれば殆ど問題ありませんが、一つ挙げれば落葉病です。この病気は角(かく)班(はん)落葉病と円(まる)星(ほし)落葉病があり、前者は病斑が葉脈で区切られるのに対し、後者は円形の病斑をつくり、雨によって伝染します。罹病すると程度にもよりますが殆ど1~2か月で落葉します。木、成木を問わず罹病します。5~7月の降雨の多い年に多発する。初期に葉の病班を認めたら罹病した葉を摘除するのが簡便な方法。この病気は病斑部で形成された分生子が雨によって他の葉に移り被害が拡大していきます。放任すれば風雨により病気は瞬く間に広がります。ただ安心なのは落葉しても枯れる事はなく、来年にはまた新芽は出て参ります。ただ、葉からの貯蔵養分が少ないため樹体、枝の充実度、花の付き等は劣ってきます。
 すべてに言えることですが予防が最良の策である。落葉を除去し、畑であれば土中深く埋め風通しを良くすることなど。簡便な方法は5月中旬~6月下旬に一度薬剤散布を行う事。(Mダイファー、ジマンダイセン、ペンコゼブ水和剤等600倍が非常に有効です。)
※筆者の園ではこの1回の薬剤散布で殆ど被害は拡大せず、問題となりません。
 害虫はロウヤ柿の場合、殆ど問題となるような害虫の被害は少ないです。仮に発生した場合、その被害状況(葉を食べる虫?葉の汁を吸う虫?)に応じて使用薬剤を選択してください。今はインターネットで検索すればすぐに問題解決が可能です。その際必要なのは何虫による被害なのかを特定することです。それがわかれば必要な薬剤は判明します。
 ただ害虫防除はほとんど必要ないと思います。

 

【秋・冬】
 いよいよ夏も終わり秋にはいると枝が充実してきます。特に小さなスペースに種まきした場合は枝葉が混んでまいります。少し密植と思われる場合は立秋をすぎてから間引きし、他の空いている場所、箱などに移植することは可能です。
※この際注意することは、葉が付いていますので、根は出来る限り切らずそのまま丁寧に掘り取り植え替えることをお勧めします。4~7月の成長期は絶対に移植してはなりません。また葉が付いている時の移植は、根を乾燥させることなく短時間での作業が必須です。一番安全なのは春先まで待ち、2月中旬~3月頃の植替えです。
 冬に向けた寒さ対策は結論から言えば、ロウヤガキは比較的原始的な植物らしく暑さ、寒さに相当強く強健です。私の在住する湯河原町では一切そうした対策は不要です。当地でも数年に一度雪は降りしますが、それでも全く問題はありませんでした。しかし、場所により暑さ寒さは千差万別のことと思います。愛情をもって植物に接すればおのずと相応しい防寒対策等の対応方法・栽培方法が見出せるものと確信いたします。

 

【開花】
 同様の管理を2~3年続けると、早い個体では4年目位に春先に白~うすい黄色の花が見られるようになります。此の時、ガク・花弁が小さいものは殆ど雄の樹とみて良いと思います。限られた容器の中で雄の樹は不要なので、枝の性(しなやかさ、枝別れ、つや等)の極端に良い個体を受粉樹として残す以外、限られた場所ですので抜き取ることをお勧めします。翌年には多くの個体が開花を迎えます。良く観察してガク、花弁の大きく、形の整っているものを目印します。
※早く開花させようと思ったら、枝を少しねじりながら横向きに誘引すると樹勢が落ち着き着花しやすくなります。

 

【個体の選別】
 6~7月の生理落花も終わり、秋が深まるのに伴い、雌花の実は次第に色付いてきます。
 実生樹を観察すると
1.とげが鋭く、実がなって居ないオス樹であろう樹
2.実がなっているメス樹 (同じ大きさの実だけ)
3.雌雄両性花が実った両性樹・・1本の樹に雌雄異花で結実するもの
4.雌の樹であるが、実の大小(種がなくても結実している果実がある)単為結果樹
の4種類が観察されると思う。
 ※どんなに素晴らしい親の実であっても、交雑実生であるために親と同一個体のものはできません。それが育種家にとっては楽しみでもありますが。
 この4種類の個体のうち、私が目指したのは4.の単為結果を有する個体です。
 私も300坪くらいの畑に何千という種を実生し結実するまでの数年、毎日首を長くして待っておりました。最初に困ったのは、3~4年経った頃のトゲの多いことです。私の経験では、オス樹の個体は概して樹勢が強く、トゲが鋭いです。雌の個体の方がオス樹に比べてしなやかな個体が多いように思えました。沢山培養していると、早期の判別が重要になってきます。先輩から教わったのは、オス花はガクが短いということです。これを頼りにみてみると、確かにその通りでした。残念ですが実生全体の半数以上がこれにあたります。
 5~6月に数度開花状況を観察し、樹にビニールテープ等で目印をつけ秋を待ちます。すると言われた通り見事にガクの小さなものはオス樹でありました。そして殆どがトゲの発生が鋭い物なので思い切って間引きいたしました。
 雌樹のなかでは、先ず実を見ます。
 光沢があるもの、形が整っているもの、ガクの形が整い出来れば先端が丸弁で幅が4~5ミリ以上あるもの、枝性がしなやかで枝分かれが細部にわたっているもの、葉は照葉でつやがあり、大きさも中庸であるもの等を選抜し、最後にオスの受粉樹がなくても結実する単為結果を目標に掲げました。その結果、何百あった個体もほんの一握り(.10~20)となり、しかも現在ある雅(みやび)に勝(まさ)る品性を備えたものは作出できませんでした。
 そうした経験から、品性、作り易さ、単為結果でありトゲも殆ど問題にならない雅(みやび)の系統に繁殖を集中することにし、それ以降実生は断念いたしました。限られた時間を有効に使うにはその方がきっと良いと思われます。ただ、趣味として実生する方は、千差万別の個体が生ずるのも確かですから、否定するものではありません。
 個体の特徴については“山口安久”著の「姫(ひめ)柿(がき)」を参照されたい。

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