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ロウヤガキをはじめる人に向けて

 

 ロウヤガキ(老鴉柿、学名:Diospyros rhombifolia)は、中国原産のカキノキ属の植物。ツクバネガキ(衝羽根柿)とも呼ばれる。葉は丸みを帯びた菱形で、3月から4月頃に花を着ける。液果は小さく尖った楕円形状で、熟すと橙に色付く。株は雌雄異株で着果には雄株が必要である。渋柿で食用には向かないが、盆栽や庭木として広く用いられている。
 日本への導入は遅く、第2次世界大戦中に京都府立植物園初代園長である菊池秋雄が持ち帰ったとされる。しかし、当時導入されたものは極少数の種類であり、幹割れなどに優れ盆栽に向いている主なものは浜北小町の名称でよばれている。出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 この樹が1984年11月下旬、京都市勧業館で開催された第4回「日本盆栽大観展」に出典され、その素晴らしさに驚嘆したYY氏が「何としても、これを中国から導入しよう」と考え、1985年10月、中国浙江省杭州植物園に、山採り仮植してあった老鴉柿の苗木数千本全てを日本に導入した。それが著書「姫柿」を著された山口安久氏である。
 その著書によると「全く予備知識も無いままに、雌雄異株であることすら知らず、知らぬが仏の大名買いであった。3割は枯れ、半数以上が雄木という始末。千本に満たない雄木が結実しはじめたのは5年目以降のことだが、嬉しい誤算が生じた。そ想像もできなかった美しい果実が生り、しかもバリエーションに富んでいたことだった。色や形の異なる果実は勿論のこと、葉性、枝性、皮性にも変異がある。これ程に個体変異に富んだ生物の樹木は、他に例を見ない。(中略)
 日本に渡来した落葉する老鴉柿と、亜熱帯に自生する常緑のトキワ柿の2種は、日本で交雑してしまった。今後、中間種のすばらしい品種ができることはさて置き、純粋と言える老鴉柿が限られてくる。特に日本での実生木は、交雑している確率が高い。中国から導入した原木に、品種名をつけて守ることは、重要なことになってきた。」以下略。
 ※相当数が枯れたのは、植物検疫のため、土をすべて落とし、病害虫を排除するために一定期間検疫所において栽培の後、本人に戻されたものであるため衰弱により枯死したものであり、私の経験からはロウヤガキは元来強健な性質を持っていると思われる。
 このロウヤカキを山口氏は愛培養し「姫柿」として1998年7月に商標登録した。それとともに「姫柿を育てる会」を発足しその発展を願った。

 

 私がこの老鴉柿にご縁があったのは、この会の発足当初の副会長であったHK氏から、たまたま母の霊前に供えてほしいと頂いた一鉢の老鴉柿が元である。それは高さ30cmほどの小さな樹であったが、その品のよさ、形、艶は申し分ないものであった。
 私はその美しさに見とれるとともに、HK氏から他にも多くの種類があることを知り、早速インターネットを通じて山口氏のホームページをひらいてみた。すると数多くのロウヤガキたちがそれぞれその美しさを競い合っていた。
 HK氏と話すうちに、氏は植物の繁殖に造詣が深く、盆栽人として松柏盆栽作家の第一人者としての岡崎市の鈴木佐市翁とも交友があり、その言を借りれば「どんなに努力しても間延びし、葉性(葉先が太くピンと立つなど)の良いものは例え安い小さな苗木であっても将来必ず立派な樹となる。言うなれば盆栽家は其の植物を観察し、樹の性を見究めることでもある」とのこと。
 そのHK氏はロウヤガキに限らず、盆栽となる植物全般に造詣が深く、黒松でも、五葉松でも、山もみじ、富貴ラン等に至るまで日本で一番良い物を手に入れ、増殖することに専念された方である。
 また良い物と言っても、言葉では判らないので、最初は良い物を見ることで、見究める目を養うことであると常々ご指導をいただいた。最初、素人は安いものからと思うかもしれないが、数年はすぐ過ぎ去ってしまう。そしてみられる年月になった時、必ずと言っていいほど飽きが来る。なぜなら数年の培養によって、目が肥えてくるからだという。その時になって経過した年月の空しさが悔やまれる。だからたとえ少し高くても樹の性の最高と思われるものを頑張って手にされたいと願う。

 

 それではロウヤガキにおいて良い葉性とはどういうものであろうか。
盆栽的には照り葉で中程度の大きさが相応しいと思う。枝は間延びせず葉と葉の節間が詰まったものが良い。鉢に取った時、樹形が整い易い。ただ季節により枝の伸長する速さは異なり、春は節間が狭く充実し、夏秋の枝は徒長しやすい性質をもっている。
 実はどうであろうか。色や形に多様なものがあるが、数百ある中で、将来にわたってもその優位が変わらない逸品が俗に言う雅系である。ガクの形や実の形、色、艶、そのすべてを取っても素晴らしい逸材である。皇太子妃殿下のお名前より拝借と請うに相応しいものである。優雅さと気品を備えている。
 次にその結実する優位性はどうであろうか。私は柑橘を栽培しているが、経済品種と言われるものはその殆どが単為結果性を有している。温州みかんをはじめオレンジ類、グループフルーツ等の大部分がそれである。どういうことかというと、結実するのに花粉つまり雄がいらないのである。花粉が無くても結実する性質が単為結果性である。
 ロウヤガキでも実は数%であるが、単に結果性を有するものがある。
 私も経験の為に平成16年、約500坪程度の畑にいろいろなロウヤガキの実生をしたことがある。実生をして3年も経過すると、樹は1.5〜2mにもなり、多くは樹勢が強く、枝には鋭いトゲを生じ、その半分以上は実の成らない雄の樹であった。一部には結実する個体を生じたが期待されたものではなかった。翌年からは多くの個体に結実がみられ、色や形など本当に千差万別であった。樹の長さは大きいものは2.5〜3m近くに成長していった。その数百本の個体から完全花の個体も一部に発生したが、それらは花数が少なく、徒長気味であった。雌花を生じる雌株には色・形・大きさなどいろいろな個体が生じたが、私が求めようとする単為結果性を有する株はほんの一握りに過ぎない。この中から現在ある雅系を上回る個体を選別するのは皆無に等しい努力に思えた。最初は雄樹を伐採したが、雌株も一部を残し、そのほとんどを伐採させていただいた。
 振り返って今あるロウヤガキの数々の種類(系統)を考えてみると単為結果性を有し面も全体のバランスのとれた個体はしぼられてくる。

・一つは雅系の個体群・・・雅、碩雅、典雅、福雅、京雅など
・一つは四季成りの個体群・・・京都四季成り

ガクの形が特に優れている個体
・獅子の舞

その他個体群の中から特筆すべき個体
・ユミ

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